誠実が一番

自民党は信頼できない

 9月10日、アメリカでは若者に圧倒的人気があった保守系の政治活動家チャーリー・カーク氏が演説中に暗殺されて全米が騒然とし、ヨーロッパではロシアの無人機がポーランドの領空を侵犯してNATO加盟国に緊張がはしりました。

アジアでも9月9日にネパールで大規模な暴動がおきて共産党政権が崩壊するなど、世界中が激しくゆれ動いています。

しかし、そのような国際情勢にもかかわらず、日本の新聞やテレビなどオールドメディアは異常気象と7日に辞任を表明した石破首相の後任争いの報道に熱中して、緊迫した世界の動きを伝えようとしません。

その石破首相の後任争いですが、52の地方新聞社と共同通信が運営する”47NEWS"が、9月12日に「首相退陣も党信頼回復せず76% 自民総裁選、高市氏トップ28% 」という記事を掲載しました。

全国の地方紙に記事をおろしている共同通信社が、11・12の両日に実施した電話による世論調査で、石破茂首相の総裁退陣が自民党の信頼回復につながるかどうかを聞いたところ「つながらない」が76.4%あったということです。

最近はオールドメディアのおこなう世論調査の信憑性が疑われているので、この調査自体もきちんとしたものかどうかは不明ですが、国民の4分の3が「総裁が替わっても自民党を信頼することはできない」と考えているのは何となくわかります。

もはや自民党が一般国民に愛想をつかされているということです。

安倍元首相が暗殺されて以来、自民党はすっかり変貌してしまいました。

自民党総裁(=総理大臣)に対して党内からリコールの声が上がる一方で、これまで敵対していた社民党や共産党、さらには中国からエールを送られるというのはまさに異常事態です。


総裁は辞めても総理は辞めない?

さて、総裁辞任を表明した石破首相ですが、9月11日の毎日新聞は「石破首相、戦後80年見解を在任中に発表へ 発信に強いこだわり」と題して、「先の大戦の検証を含めた戦後80年の『首相見解』発信」をあきらめていないことを伝えました。

これは、終戦記念日の前日となる2015年8月14日に当時の安倍首相が閣議決定を経て発表した『70年談話』を意識したものでしょう。

日本は戦後中国・韓国・北朝鮮から謝罪と賠償を要求され続けてきましたが、『70年談話』では、

「日本では、戦後生まれの世代が、今や、人口の八割を超えています。あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません。」

と語って負の循環を断ち切り、最後は

「終戦80年、90年、さらには100年に向けて、そのような日本を、国民の皆様と共に創り上げていく。その決意であります。」

と結んで、この先節目の年の談話は不要との布石を打っています。

石破首相は終戦の日のスピーチでも「反省」という言葉を復活させていますが、『80年談話』ではさらに踏み込んだ内容にするのではないかと危惧されています。

これは中国・韓国・北朝鮮にとっては願ったり叶ったりで、河野談話が自称慰安婦の損賠賠償要求の根拠となったように、石破談話が日本の国益を害する種に使われることは目に見えています。

退任する人が最後にとんでもない置き土産を残していくようなものです。

と言いましたが、そもそも石破氏は自民党総裁を辞任しても総理の椅子は手放さないのではないかという話を、北村晴男参議院議員が9月8日のご自分のユーチューブで語っていました。

それは「世の中には常識的な感覚ではあり得ないことをする人がいる」からだそうです。

彼は普通の人じゃないですから、これまでの行動を見ていれば普通の人じゃないのはハッキリ分かる。
自分はですね、弁護士という仕事を36年間やってきましたから、この種の人間が普通の感覚、常識的な感覚ではあり得ないことをするってことをいくつも見てきていますから、私は絶対に信用していません。
弁護士の仕事をしているとですね、信用できる人と絶対に信用できない人がいる。
もちろんその中間もいますけどね。
信用できる人と絶対に信用できない人がいる、絶対に信用できない人間は絶対に信用してはいけないということを、もう骨身にしみて勉強してきていますんで、ということです。
「首相いつ辞めるの?石破氏が辞めて今後起きるヤバいこと」『弁護士北村晴男ちゃんねる』

今は北村議員の見込がはずれることを祈るばかりです。


三方限出身名士顕彰碑(鹿児島市荒田)にはめ込まれた郷中教育の教え


上に立つ人は誠実が第一

戦後の日本政治を担ってきた自民党が、なぜ信頼されなくなったのか。

その理由のひとつはSNSの発達だろうと、ブログ主は考えています。

かつては情報発信は新聞・テレビといった「マスコミ」が独占しており、個人の意見を表明する場はありませんでした。

つまり、マスコミの伝えることが世論だったのです。

しかし、インターネットの発達によって、個人や団体がSNSで世界中に自分の意見を発信できるようになりました。

そうすると、これまでマスコミが伝えてきたことの間違いやウソが、在野の専門家によって即座に暴かれ始めたのです。

マスコミは自分たちの優位性を維持しようとして、「SNSはフェイクだ」というキャンペーンを続けていますが、その言葉を真に受けているのは元々マスコミ発表をうのみにしていた一部の情弱層だけでしよう。

となれば、自民党は信頼回復のためにどうすれば良いのでしょうか?

答は簡単です。

国民の声に耳を傾けて、ウソのない誠実な政治を行なうだけです。

前回も紹介した『久光親話記』にこういう記述がありました。

久光が、自分の長男で、兄斉彬の養子となって薩摩藩主を継いだ忠義に語ったものです。(読みやすくするため現代仮名づかいに変えて、一部漢字を平仮名にし、句読点と送り仮名をおぎなっています。原文はこちらの46/48コマ)

このように礼儀廉恥の道すたれ、金銭のみを尊ぶようになりては、果ては上を敬うことはまるでなきようになるべし。
弾正台は正邪曲直をただすに必要のもので、なくて叶わぬものなり。
しかし今の世にこれを設けたらば、役人などが甚だ困るならん。
重き役人にも罪に落るものあるは相違なし。
今の処では、捌けさえすれば行状などはどうでもよいというような風に見えたり。誠に歎かわしき世となりたり。
今も昔も誠実に違いはあるまじ。
今日の人は知恵と理屈にて何事もやり遂ぐる考えなるも、人はまこと心肝に銘ずることなくては、永続はなさぬものなり。
一時は何とかごまかすべきも、永き内には失礼も露わるものなり。
上に立つ人は何事も誠実を専らとし、人をごまかすが如き挙動は慎むべきこと第一なり。
世に謂う道徳論も軽んじて見過すべきものにあらざるべし。
深く勘考もなすべし。
【『久光親話記1』大正6年写 宮内庁宮内公文書館所蔵】

久光は人々が道徳よりも金儲けを優先することをなげき、このさい弾正台(だんじょうだい:警察および官僚の監察をおこなう機関)を設けるべきだとの意見です。

そうして、弾正台ができれば官僚が摘発されて、重要ポストにある者からも罪人がでることは間違いないと見ています。

仕事さえこなしていれば行状(おこない)が悪くてもゆるされる風潮を、「誠に嘆かわしき世」と語り、「今の人は知恵と理屈だけでなんでも済まそうとするが、心根がしっかりしていないと長続きはしない」と語っています。

そうして、「上に立つ人はなにごとも誠実をもっぱらにして、人をごまかすような挙動をしてはならない」とさとしています。

さて、総裁選に名乗りを上げた政治家のうちで、久光の眼鏡にかなう人物はいるでしょうか。



幕末島津研究室

幕末島津家の研究をしています。 史料に加え、歴史学者があまり興味を示さない「史談(オーラルヒストリー)」を紐解きながら・・・ 歴史上の事件からひとびとの暮らしまで、さまざまな話題をとりあげていきます。

0コメント

  • 1000 / 1000