2025.10.26 09:00藩校造士館の教育も斉彬が変えた 前々回まで3回にわたって薩摩特有の教育である郷中教育をとりあげてきました。しかし、薩摩の教育は郷中教育だけではありません、メインとなるのは藩校「造士館」です。じつは斉彬はこの造士館も大改革しています。藩校は官僚養成が目的江戸時代中期(18世紀後半)以降、各藩は藩士の教育機関とな...
2025.10.12 09:00郷中教育は斉彬が変えた(後編)島津斉彬の郷中教育改革も最終回になりました。斉彬校長がどのようにして「荒れた学校」を立てなおし、ケンカ抗争にあけくれていた若者たちを勤勉な青少年に変えたのか。今回はそれをご説明します。まずは実態調査 斉彬は現代でいう三現(現場・現物・現実)主義者で、部下の報告をうのみに...
2025.10.05 09:00郷中教育は斉彬が変えた(中編) 島津斉彬が行った郷中教育の改革は、例えていえば校内暴力が頻発している「荒れた学校」を新任校長が立て直して、一流の進学校に変えたようなものです。今回は斉彬校長赴任当時の薩摩高校のようすと、初期対応についての話になります。郷中教育は排他的でケンカ抗争が絶えなかった前編では、薩摩独特...
2025.09.28 09:00郷中教育は斉彬が変えた(前編)前回取り上げた郷中教育(ごじゅうきょういく)ですが、これは他藩にはない薩摩独特の教育制度で高い評価を受けています。しかし、その高い評価は島津斉彬の功績によるものだ、ということはあまり知られていません。薩摩独自の教育システム江戸時代、武士の教育は一般的には藩校(藩が設立した学校で、...
2025.09.21 09:00郷中教育とボーイスカウト 最近は「フェイクニュース」という言葉をよく聞きます。いわゆる偽情報ですが、新聞・テレビなどのオールドメディアがインターネットを叩くときにもよく使われます。以前の記事「多文化共生は善か?」で取り上げたアフリカ4国のホームタウン構想では、オールドメディアはいっせいに、「『アフリカか...
2025.08.10 09:00開化千字文千字文とは 前回、江戸時代の寺子屋教育においては生徒ごとに個別のカリキュラムで教えていたと説明しました。しかし、全員に共通して教えた科目もあります。「手習い」、つまり習字です。「手習い」の手本として一般的に使われたのが「千字文(せんじもん)」という、日常よく使う漢字1000字が書...
2025.08.03 09:00寺子屋と学校のちがい寺子屋とは 明治維新は日本の社会に大変革をもたらしましたが、そのひとつが教育制度です。江戸時代、庶民の子どもたちの教育機関となっていたのが「寺子屋」でした。寺子屋の起源としては、平安貴族から政権をうばった武士階級の教育を寺院が行なったことによるという説があります。平安時代末期、関...
2025.06.16 08:00国絵図から見える薩摩の科学技術力国絵図 前回登場した伊能忠敬ですが、じつは第二の人生をはじめたときの目的は地図作成ではありませんでした。彼は49歳まで商売に精を出して財をなしたのち、息子に家業を任せ、自分は江戸に出て念願の天文学を学ぶために幕府天文方の高橋至時に師事します。天文学を学ぶうちに地球の大きさに関心を...
2025.06.02 08:00江戸の技術力ペリーもおどろいた日本の職人技 江戸時代の科学や技術というのは、マスコミなどでもあまり取り上げません。一般的には、「鎖国もしていたし、西洋にかなり遅れていたのだろう」くらいのイメージしか持たれていないと思います。しかし、西洋における17世紀の「科学革命」や18世紀の「産業革命」の...
2025.05.26 08:00江戸庶民の学力(その2 数学)一家に一冊『塵劫記』 江戸時代の寺子屋教育の基本は、「読み、書き、そろばん」でした。いいかえれば、「読解力、文章表現力、計算力」になります。ということで前回は「読み、書き」=「国語」でしたから、今回は「そろばん」=「数学」のお話です。江戸時代に出版された書物でもっとも多く読まれた...
2025.05.18 20:30江戸庶民の学力(その1 国語)短期間で近代化に成功した唯一の国 ここのところ、徳川幕府の末期と現在日本の政界をくらべるテーマで書いていましたが、暗澹たる気持ちになるばかりなので話題を変えてみます。昨年『日本の産業革命と薩摩』という本を出したら、いくつかの団体からそのテーマで講演をしてほしいとの声がかかりました...